テレワークの交通費と在宅勤務手当~社会保険料等の算定時の取扱い~(厚労省) 

 首都圏では第4派の到来にともない、東京都等から在宅勤務等のテレワークの実施が奨励されています。

 厚生労働省は4/1、在宅勤務時の交通費や在宅勤務手当の社会保険料決定時の取扱いについて、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部を改訂し、「算定基礎届」や「月額変更届」等での対応を示しています。

 同事例集の別紙で労働保険料を含めた取扱いのQ&Aが掲載されていますので、当事務所で一部再編集しました。

Q1 テレワークを導入した際の交通費は社会保険料、労働保険料の算定基礎に含まれるのか。

A1 基本的にその勤務日の契約上の勤務地が自宅か事業所かに応じて次のように取扱う。

① その勤務日の契約上の勤務場所が「自宅」とされていて、業務命令により一時的に出社し、その移動にかかる実費を事業主が負担するときは原則として「実費弁償」と認められ、社会保険料、労働保険料の算定基礎に含まれない。

② その勤務日の契約上の勤務場所が「事業所」とされていて、出社するために要した費用を事業主が負担する場合、その費用は原則として「通勤手当」として社会保険料、労働保険料の算定基礎に含まれる。

※ 在宅勤務等テレワークの導入により、「支給されていた通勤手当が不支給となる」「支払方法が月額から日額に変更される」等、固定的賃金の変動があった場合、随時改定(月額変更)の対象となる。

Q2 在宅勤務・テレワークを導入し、在宅勤務手当が支払われる場合、その交通費は社会保険料、労働保険料の算定基礎に含まれるのか。

A2 支給要件や支給実態を踏まえて個別に判断する。基本的な考え方は次のとおり。

① 在宅勤務手当が実費弁償にあたらず、労働の対象として支払われる場合は社会保険料、労働保険料の算定基礎に含まれる。
 被保険者が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を事業主に返還する必要がないもの等。

② 在宅勤務手当が実費弁償にあたるものである様な場合は、社会保険料、労働保険料の算定基礎に含まれない。
 テレワークの実施にあたって、パソコンの購入や通信費用を事業主が被保険者支払うような場合、その手当が業務遂行に必要な費用にかかる実費分に対応するものと認められるのであれば、実費弁償にあたるものとして算定基礎に含まれない。

※ 在宅勤務等テレワークの導入により、「新たに実費弁償にあたらない在宅勤務手当が支給される」こととなった場合、固定的賃金の変動にあたり、随時改定(月額変更)の対象となる。


Q3 在宅勤務手当のうち実費弁償にあたるようなものとは、どのようなものが該当するのか

A3 次のようなものが考えられる。

① 労働者へ貸与する事務用品当等の購入については、「会社が費用を仮払いし、労働者が購入後、超過額を会社に返還する場合」「労働者が立替払いで購入し、購入費用を会社から受領する場合」等。

② 通信費・電気料金については、①と同様に「会社が仮払いし、労働者が超過分を返還する場合」「労働者が立替払いし、会社から費用を受領する場合」

 業務に要した費用と生活に要した費用が一括で請求される費用の実費弁償分の計算方法は、国税庁における「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」で示されている計算方法等が考えられる。

③ レンタルオフィスについては、会社が業務上必要と認め勤務時間内に利用した場合、①労働者が在宅勤務に通常必要な費用としてレンタルオフィス代等を立替払いし、かつ②業務のために利用したものとして領収証等を会社の提出して代金を精算されているものは社会保険料・労働保険料の算定基礎に含まれない。(会社が仮払いし、後日精算した場合も同様とする。)