令和3年改正 育児・介護休業法に関するQ&A R3.11.30時点(厚労省)

 厚労省は今年令和3年の育児・介護休業法の改正について50問以上からなるQ&Aを公開しました。以下、いくつかを選んでご紹介します。(文面は当事務所で一部改変しました。Q&Aの全文は厚生労働省ホームページでPDFファイルで公開されています。)

5.出生時育児休業について

Q5-1~3.来年令和4年10月から始まる「出生時育児休業(産後パパ育休)」の基本的な内容を教えてください。この制度が始まると、男性は通常の育休を取得できなくなるのでしょうか。またこの制度は男性しか取得できないのでしょうか。

A5-1~3.子の出生後8週以内に4週間まで取得できる育児休業で、次の特徴があります。

      1. 申出期限が原則休業の2週間前まで
      2. 分割して2回取得可能
      3. 労使協定を締結している場合、労使が合意した範囲内で事前に調整したうえで休業中に勤務することが可能

 この育休は現行の育休に加えて創設されたもので、子の出生後8週以内の期間は、労働者の選択により、新制度と通常の育休のいずれも取得可能となります。

 女性は通常、子の出生後8週以内は産後休業期間中となりますが、養子の場合などはこの制度の対象となります。

 

Q5-11.出生時育児休業は育児休業給付の対象になりますか。

A5-11.なります。(出生時育児休業給付金が創設されます。)

 

6.出生時育児休業中の就業について 

Q6-1.出生時育児休業中の就業は、労働者が希望すればいつでもできるのですか。

A6-1.休業中の就業は、労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内で、事前に調整したうえで可能です。具体的な手続きの流れは次の通りです。

      1. 労働者が就業してもよい場合、事業主にその条件を申し出
      2. 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(就業させることを希望しない場合はその旨)
      3. 労働者が同意
      4. 事業主が通知

就業可能日等には次の制限があります。

 ☑ 休業期間中の所定労働日、所定労働時間数の半分まで

 ☑ 休業開始・終了予定日を就業日とする場合はその日の所定労働時間数未満

 

7.(現行の)育児休業の分割取得について

Q7-1.育児休業は2回まで分割取得が可能になるとのことですが、出生時育児休業」合わせると1歳までの間に4回まで取得可能になるということですか。

A7-1.その通りです。

 

8.育児休業等に関するハラスメント 

Q8-1.出生時育児休業中の就業について、事業主が提示した日時で就業することを強要することはハラスメントに該当しますか。

A8-1.労働者が出生時育児休業中の就業可能日などの申し出を行わない場合や、事業主の提示した日時に同意しない場合に、上司などが解雇その他不利益な取り扱いを示唆したり、嫌がらせ等をしたりすることは、職場における育児休業等に関するハラスメントに該当し、また、事業主が提示した日時で就業することを労働者に対して強要した場合には法違反にもなります。

Q8-2.来年令和4年4月から、「妊娠・出産の申し出をした労働者に対する(育児休業制度等の)個別周知・意向確認のための措置」の実施が義務化されますが、この措置の実施に際して、上司などが育児休業制度等の利用を控えさせるような対応をすることはハラスメントに該当しますか。

A8-2.そのとおりです。新たに創設される出生時育児休業についても同様に該当するため、留意する必要があります。

 

2.妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別周知・意向確認のための措置 

Q2-1.来年令和4年4月から義務化される「個別周知・意向確認のための措置」について、事業主はどのような内容をどのように実施すればよいですか。

A2-1.労働者から、本人または配偶者が妊娠または出産した旨等の申し出があった場合の次の項目を周知し、制度の取得意向を確認するための措置を実施する必要があります。

      1. 育休・出生時育休に関する制度
      2. 上記制度の申し出先
      3. 育児休業給付に関すること
      4. 上記休業期間中の被保険者負担分の社会保険料の取り扱い

  事業主はこれらの措置を、次のいずれかにより実施する必要があります。

      1. 面談
      2. 書面交付(郵送可)
      3. FAX(本人が希望するときのみ)
      4. 電子メール等(同上)

※資料素材が厚労省サイトで公開されています。

 

3.育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置 

Q3-1.来年令和4年4月から義務化される「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」として、事業主は具体的にどのようなことをすればよいですか。

A3-1.育休・出生時育児休業の申し出が円滑に行われるよう、下記いずれかの措置を講じなければなりません。※複数実施が望ましい、とのことです。

      1. 育休・出生時育児休業に関する研修の実施
      2. 育休・出生時育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
      3. 自社労働者の育休・出生時育児休業取得事例の収集と提示
      4. 自社労働者へ育休・出生時育児休業制度と休業取得促進に関する方針を周知

 

(2021.12.28作成記事)