仕事と介護の両立支援制度の見直し ~平成29年1月から~
育児介護休業法の改正により、育児や介護と仕事の両立を支援する法制度が29年1月から見直されます。
12月には、厚労省から今回の法改正のQ&Aが発表されています。
今回はまず仕事と「介護」の両立支援制度の見直しについて、まとめました。介護離職予防の一助となれば幸いです。
(1)介護休業制度の見直し
以下のとおり、見直されます。
ア.回数と日数の上限
対象家族1人につき「通算93日まで、3回を上限として分割して取得可能」となります。
これまでは原則1回、93日が上限でした。
イ.対象となる家族の範囲の拡大
同居・扶養でない「祖父母・兄弟姉妹・孫」も対象となります。
ウ.有期契約の従業員の取得条件の緩和
休業開始時に「①継続雇用の期間が1年以上で、②休業開始から93日経過以降、6か月経過するまで契約が更新されないことが明らかでない」ときは介護休業を取得可能となります。
(2)介護休暇制度の見直し
「介護休暇」は対象家族1人につき、年5日、2人以上のときは年10日付与されます。今後は半日単位(1日の所定労働時間の1/2)の取得が可能となります。
日常的な介護ニーズに対応することを目的とした制度です。
(3)介護短時間勤務などの見直し
法改正前は、介護休業をしない期間、介護休業と通算して93日を上限として、次の①~④のいずれかの措置を事業主が実施しなければならないとされていました。
①所定労働時間の短縮措置
②フレックスタイム制
③始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ
④労働者の利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度。
法改正後は、日常的な介護ニーズに対応するための制度として、介護休業の取得日数との通算の仕組みがなくなり、「介護休業とは別」に、利用開始から3年間に2回以上の利用が可能な制度となります。
労働者が1回に申し出ることのできる日数の上限については法律に定めがなく、利用開始から3年間に2回以上の利用が可能な制度となっていれば、1回の申し出期間の上限を事業主が定めても差し支えないとされています。
(4)介護のための所定外労働の免除※新設
介護終了までの期間について利用できる権利として、新設されます。こちらも日常的な介護ニーズに対応することを目的としています。
労働者が1回に申し出ることのできる期間は1ヶ月以上1年未満と定められており、事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は請求を拒否することができます。
また、継続雇用が過去1年未満の労働者等は、労使協定により対象から除外することができます。