今年(令和2年)4月から7月に新型コロナによる休業で報酬が下がった場合の社保料の減額特例の詳細(続報) 

 前回の当事務所ニュースで、新型コロナウイルス感染症の影響で休業したことにより給与額等が「著しく」下がった場合の社会保険料の減額特例についてご案内しました。

 この特例は今年4月~7月の新型コロナ関連の休業による給与の減少が対象で、来年1月末までの間、さかのぼって申請することができます。

 社会保険料の減額は事業主、被保険者双方の負担軽減となりますので、今回も引き続き詳細を補足させていただきます。

 まず、この特例制度を利用する条件を改めて記載します。次のすべてを満たす必要があります。

    •  新型コロナウイルス感染症の影響による休業(1時間以上の時間休業含む)があったことにより、2020年4月から7月までの間に報酬が著しく低下した月がある
    •  著しく報酬が低下した月に支払われた報酬の総額が、現行の標準報酬月額に比べて2等級以上下がっている
    •  被保険者本人がこの特例措置による改定に同意している旨を所定の書面で届け出る

以下、この他の詳細な条件について、日本年金機構のQ&Aから一部を抜粋してご案内します。(Q番号は同Q&Aの通し番号をそのまま転記しています。)

(日本年金機構ホームページ『【事業主の皆さまへ】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定のご案内』から本Q&A全文などの資料や申請書面をダウンロードできます。)

Q4.新型コロナウイルス感染症の影響により「休業があった者」とは?

(A4抜粋)事業主からの休業命令や自宅待機指示などで1か月のうちに1時間でも休業のあった方のことです。

 日給や時間給の方が、事業主からの命令や指示等により、通常の勤務やシフトによる日数や時間を短縮し、短時間休業が行われることとなった場合も同様として差し支えありません。

Q13.特例の対象に法人の役員等も含まれる?

(A13抜粋)対象となります。ただし、例えば、役員報酬について「未払い計上」となっている場合、報酬が支払われているものとして取り扱うこととされており、報酬の低下とは言えないことから、特例改定の対象となりません。

Q22.たとえば4月に2等級低下、5月に3等級低下の場合、改定月を選ぶことができますか?

(A22抜粋)本人の書面による同意を得た上で、どの月を選んでも構いませんが、同一人物について複数回届け出ることはできません。

Q29.届出方法は通常の随時改定と同じですか?

(A29抜粋)特例改定用の所定様式で届け出る必要があります。また、申立書の添付が必要です。届出は所轄の年金事務所へ郵送をとのことです。(所轄の事務センターではないことにご注意ください。また、電子申請も可能です。)

Q37.従業員の同意は、書面で求めなければならないでしょうか? その際、所定の様式はありますか?任意の様式でも構いませんか?

(A37抜粋)本人からの同意は、改定後の報酬の内容も含めて、必ず書面で求めていただき、同意書は届出日から2年間は事業所で保管してください。

 同意書は任意の様式で構いませんが、特例改定の内容について十分理解していただいた上で、本人の署名押印を求める様式(本人の自署による場合は、押印は不要。)としてください。

 日本年金機構ホームページに参考様式を掲載していますので、ご活用ください。(他の様式による場合も、少なくとも、日本年金機構ホームページに掲載する参考様式と同程度の内容について同意を求めていただくようお願いします、とのことです。) 

Q41.休業していないが、業績不振により給料を大幅に引き下げた場合、特例改定に対象になりますか?

(A41抜粋)休業を伴わない場合は対象になりません。

Q46.休業や出勤停止により、その間の賃金は全く支払われていませんが、この場合でも特例改定の対象になりますか?

(A46抜粋)事業主が今般の新型コロナウイルス感染症の影響により休業させていて、その他の要件を満たしていれば、急減月に報酬等の支給が一切ない場合でも特例改定の対象となります。

 その場合は、最低等級の標準報酬月額(健康保険:5.8万円、厚生年金保険:8.8万円)として改定することとなります。

Q55.特例改定を受けた場合、定時決定は必要ですか?

(A55)5・6月に特例改定が行われた場合、定時決定が必要です。7・8月に特例改定が行われた方の場合は、定時決定は不要です。

Q57.特例改定後、休業回復※により通常の給与を支給することとなった場合、月額変更の届出は必要ですか? またその際の届出方法はか?

(A57抜粋)特例改定後、固定給の変動等により随時改定に該当する場合には月額変更の届出が必要です。

 また「7月・8月に特例改定が行われた方」については、「休業が回復した月※から継続した3か月間の報酬による標準報酬月額が2等級以上上昇する場合には、固定的賃金の変動の有無にかかわらず、月額変更届の届出が必要となります。

※ 休業回復した月とは、「報酬支払い基礎日数が17日以上ある月」を指します。