新型コロナウイルス感染症に係る労災給付、健康保険給付について(厚労省)

 労災保険、健康保険の被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染した際の保険給付について、「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」「〃(企業の方向け)」から抜粋しました。

 ※設問の番号は本記事作成時に独自に振り直してあります。

 

Q1.従業員が業務に関連して新型コロナウイルスに感染し、休業したときの労災保険給付等

A1.業務に起因して感染したものと認められる場合、労災保険給付の対象となります。

 感染経路が不明の場合であっても、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合は、保険給付の対象となります。

※複数の感染者が確認された労働環境下での業務・顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務

 また医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象となります。

 このような業務上の新型コロナウイルス感染による休業については、休業4日目以降で賃金を受けていない日について、労災保険給付の休業補償給付・休業特別支援金として労働基準法上の平均賃金の80%が支給されます。

 ただし、休業1~3日目の休業補償については労災保険からの給付がありません。このため、事業主は労働基準法の定めにより法定の平均賃金の60%を事業主が従業員に支払う義務が生じます(平均賃金の60%以上の賃金が支払われている場合は不要です)。

 

Q2.従業員が業務に起因して感染し、PCR検査で陽性となったが、医療機関への受診はなく、保健所の指示により自宅(ホテル)で療養した際の手続

A2.『当該療養期間について、やむを得ず発症から一度も医療期間を受診していない場合』や『PCR検査を実施したのみで診察を受けていないとの理由により、医師からの証明が得られない場合』には、保健所から発行される「宿泊・自宅療養証明書」「就業制限通知書」「就業制限解除通知書」を休業補償給付請求書に添付して手続きをします。

 

Q3.業務外で新型コロナウイルスに感染し、休業する場合、健康保険等の給付を受けられるか

A3.他の疾病に罹患した場合と同様、職場で健康保険に加入している場合は、傷病手当金が受けられます。対象となる期間は「療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日以降」で、給付額は「直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2に相当する金額」です。

 上記の「労務に服することができなかった期間」には自宅療養等の期間も含まれます。医療機関を受診できず、医師の意見書がない場合においても、事業主の証明書により、保険者により労務不能と認められる場合があります。

 また被用者保険に加入していない場合、国民健康保険において、新型コロナウイルスに感染した被用者に傷病手当金を支給する場合があります。詳細は加入先の保険者にご確認ください。