4月からの労働時間の上限規制と36協定
今年4月から、一部の会社等に罰則付きの時間外労働等の上限規制が適用されています。また法改正にともない「36協定」の様式も変更されています。今回は厚労省パンフレット「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」を参考に、改めて概要をまとめました。
1.いつから、どの事業に適用されるのか
大企業は今年4月から、中小企業は来年4月から、労働時間の上限規制が変わります。
また中小企業であっても、大企業に従業員を派遣する派遣元企業は大企業と同様に改正法が適用されます。
このほか「建設事業」「自動車運転の業務」「医師」「鹿児島県・沖縄県での砂糖製造業」等については5年間の猶予期間がおかれ、「新技術・新商品等の研究開発業務」については、上限規制の適用か除外されます。
※中小企業の範囲
「資本金額または出資総額」と「常用労働者数」のどちらかが基準以下であれば該当します。事業場単位でなく、企業単位で判断されます。
小売業 … 5000万円以下または50人以下
サービス業… 5000万円以下または100人以下
卸売業 … 1億円以下または100人以下
その他 … 3億円以下または300人以下
2 .「36協定」とこれまでの法規制
労働時間は原則として1日8時間、1週間40時間以内とされています。また休日は原則として1週間に1日(法定休日)与えることとされています。
時間外や法定休日に働かせる場合には、労働基準法36条による労使協定(いわゆる36協定)を締結して所轄労働基準監督署長に届け出なければ罰を免れることができません。
また36協定には対象となる業務の種類や上限の時間数を定めなければなりません。
これまで、時間外労働の上限時間数は「厚生労働大臣の告示」によって基準が定められていました。
ただ、「臨時的に限度時間を超えて時間外労働をしなければならない特別の事情が予想される場合」には、特別条項付きの36協定を定めれば、限度基準を超えて時間外労働をさせることができました。
3 .新たな「時間外労働の上限規制」
今後は、2の「告示」の基準が「罰則付き」の法律となり、1のスケジュールで適用されます。
さらに、臨時的で特別な事情のある場合の時間外労働にも、上限が定められます。
①時間外労働の上限は原則月45時間、年間360時間に。臨時的な特別の事情がなければこれを超えられらない。
②臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下の限度とする。
a時間外労働は年720時間以内
b時間外と法定休日の労働の合計は月100時間未満
c時間外と法定休日の労働の合計は「直近2ケ月平均」「同3ヶ月平均」「同4ヶ月平均」「同5カ月平均」「同6ヶ月平均」全て80時間以内
d時間外労働月45時間超は年6ヶ月まで
※ 特別条項がない場合もbcは必須
③上記に違反した場合、罰則が科される場合あり(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)
4.36協定は新様式で
大企業または大企業に労働者を派遣する中小派遣元は今年4月以降の期間のみを定めた36協定から、中小企業は来年4月以降の期間のみを定めた36協定から、新しい様式で労基署に届け出ます。
ただし経過期間中であっても、法改正後の上限規制に対応できる場合には、新様式で届け出てもかまわないとされています。
新しい36協定届には、下記の内容を協定します。
a時間外・法定休日労働させることのできる場合
b対象となる労働者の範囲
c対象期間、起算日、有効期間
d対象期間の1日、1ヶ月、1年について時間外労働させることができる時間数または法定休日労働させることができる日
e時間外・法定休日労働の合計が月100時間未満かつ2~6ヶ月平均80時間以内であること
(以下、特別条項を定めるとき)
f臨時的に特別な事情のあるときの時間外・法定休日労働の合計時間数(100時間未満)と1年の時間外労働時間数(720時間内)
g限度時間を超えることができる回数
h限度時間を超えて労働させられる場合
i対象労働者に対する健康及び福祉の確保措置
J限度時間を超える労働に対する割増率
k限度時間を超えて労働させる場合の手続き