若者の「使い捨て」が疑われる企業等への監督指導など(厚労省)

厚労省は8/8、若者の「使い捨て」が疑われる企業等が社会問題となっていることを受けて、3つの取り組みを柱とする具体的な対策をとると発表しました。長時間勤務の是正に焦点を当てた監督指導等が実施される模様です。
過重労働を強いる職場では、従業員に健康障害が発生した際、企業が「安全配慮義務」に違反したとして、高額な損害賠償責任を追求されることがあります。
意図的なケースでなく、採用難などにより過重な勤務が生じている職場であっても、長時間勤務を放置した場合などは同様に責任を問われる可能性があります

安全配慮義務
使用者に対し、従業員の生命・健康を労働災害などの/険から保護するよう配慮する義務を課するもので、労働契約法5条に規定があります。

 

長時間勤務がつづくと、睡眠等休息の時間が減り、健康障害のリスクが高まるほか、人員確保に支障が生じたり、判断力や体力の低下により生産性が低下するなど、経営への悪影響も考えられます。

労務管理の面からは、勤務時間の抑制策として以下が考えられます。

・変形労働時間制の導入など労働時間管理のみなおし
・計画年休制度の導入
・割増給与の計算方法、給与体系のみなおし(お付き合い残業、時間稼ぎの居残りの回避)
・残業の原則禁止(強制退室、ノー残業デー)
・許可残業制の導入
などなど…

これらの取組みは、中長期的には人材の定着や採用といった面にも有効と考えられます。
※以下、厚労省の報道発表内容をまとめました。詳細は下記サイトをご覧ください。
若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組を強化(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000014323.html

 

【厚労省の今回の取り組みの柱】
1.長時間労働の抑制に向けて、集中的な取組を行う。
9月を過重労働重点監督月間とし、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対し、集中的に監督指導等を実施

2.相談対応の強化
9月1日に全国一斉の電話相談を実施

3.職場のパワーハラスメントの予防・解決を推進
一層の周知啓発の徹底

 

【具体的な取組】
労働基準監督署及びハローワーク利用者等からの苦情や通報等を端緒に、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等を把握し、監督指導を集中的に実施。「重点確認事項」として、下記を実施する。

・時間外・休日労働が36協定の範囲内であるかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導。

・賃金不払残業(サービス残業)がないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導。

・長時間労働者については、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導。

これ以外にも、過重労働があり、労働基準関係法令違反の疑いがある企業等に対して、重点的な監督指導を実施するほか、重大・悪質な違反が確認された企業等については、送検し、公表するなど対応するとしています。