平成24年度の「脳・心臓疾患と精神障害」の労災認定の状況~36(サブロク)協定の締結・届出はお済みですか~

厚労省が21日に発表した資料によると、平成24年度の「脳・心臓疾患の労災認定件数(過重労働が原因と認定)は338件で2年連続増加」「精神障害の労災認定件数(仕事による強いストレス等が原因と認定)は475件で過去最多」となりました。

前者はいわゆる過労死等で、発症前の法定時間外の勤務時間数が重要な目安となっています。 後者についても、長時間勤務を含む「仕事内容、量の変化」を発症のきっかけとする認定が59件に及んでいます。

『平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ』http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034xn0.html

ご参考まで、過重労働による脳・心臓疾患の認定と法定時間外の勤務時間数の関連性を要約すると以下のとおりとなります(参考「過重労働による健康障害のための総合対策」厚労省)

発症前1ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって法定時間外の勤務が1ヶ月あたりおおむね45時間未満のときは発症と業務の関連性が弱い

上記の条件で1ヶ月あたりおおむね45時間を超えて長くなるほど関連性が強まる

発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、同じく1ヶ月あたりおおむね80時間超のとき、業務と発症の関連性が強い。

発症前1ヶ月間におおむね100時間超のときは、業務と発症との関連性が強い。

これらの時間数は、「長時間労働による問題は疲労の蓄積であり、そのリスクは睡眠時間数と関連が深い」とする医学的見地により、睡眠時間数から算出されています(「1日の睡眠時間が5時間のとき、月間の残業時間数は100時間」など。)。

経営側は従業員に対して民事上の安全配慮義務を負っていますので、過労死等の発生時には遺族から損害賠償を請求される可能性もあります。 上記の時間数を目安に、定期的に従業員の就労時間をチェックしていかれるとよいでしょう。

時間外の勤務については、法律で事業主と従業員代表の間の協定の締結と届出が義務付けられています。 この協定も、時間管理の目安になります。

 

【36(サブロク)協定について】

そもそも、労働基準法では法定時間を超える時間外労働を禁止しており、時間外労働および休日労働に関する協定(いわゆる36協定=サブロク協定)を締結し、届け出ることで、勤務時間を延長し、または休日に勤務させることができます。 このため、時間外・休日勤務をさせる事業場はこの協定を締結し、届け出なければなりません。

また届出の単位は「事業場ごと」となっています。 「事業場」の単位については、場所が離れているかだけでなく、労務管理が独立しているか、作業や組織が一体的・継続的か、などの要素から判断します。詳細はご相談ください。

この協定は従業員の過半数代表者と事業主の間で締結するもので、

 ①時間外または休日労働をさせる具体的な理由、

  ②対象者の業務と人数、

  ③1日、1日超3ヶ月未満、1年についてのそれぞれ延長することができる時間又は労働させることができる休日

といった内容を取り決めて、管轄の労働基準監督署に届け出、従業員に周知します。

特に③については、厚生労働大臣が期間別に限度時間を定めており、協定ではこの限度内で時間数を定めなければなりません。 たとえば1ヶ月については45時間、1年間については360時間です(一部例外あり。また自動車運転や工作物の建設等、除外される事業あり)。

この基準を超える場合、「特別条項」を締結することで、臨時的な場合、年6回以内に限り、「特別条項に定める延長時間」まで延長することができます。

「時間外労働、休日労働に関する協定届(パンフレット)」厚生労働省

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei/pamphlet_leaflet/roudoujikan_kyujitsu_kyuka/_83690.html