出産・育児関連の給付と負担軽減について

 今年4月から、産休中の社会保険料を免除する制度が導入されます。
今回は出産育児関連の制度についてまとめました。
手続の際には、社会保険労務士による電子申請をご利用いただくことで時間や労力を大幅に軽減いただけます。
詳細はお気軽にご相談ください。

http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/000001674194EWe5gfHi.pdf
(平成26年4月から産前産後休業期間中の保険料免除が始まります:日本年金機構)

 

1.休業制度

「産休とは?」

 使用者に対し、産前6週間(多胎妊娠は14週)、産後8週間の女性労働者を就業させてはならないとする制度です。ただし産前の休業は、本人からの請求がなければ勤務させて問題ありません。また産後6週間経過後に本人から就業の請求があった場合は、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。

「育休とは?」

 1歳未満の子を養育する男女労働者は、申出により、子が1歳に達するまでの間、育児休業をとることができるとする制度です。
日雇いの方等は対象外ですが、一定の条件を満たす期間雇用者は対象となります。
また保育所に入所できない場合など、1歳6ヶ月まで延長できる場合があります。その他、父母どちらも育休をとる場合、「パパママ育休プラス制度」により1歳2ヶ月までのあいだ、それぞれ1年間を上限に取得できます(女性は産後休業の期間を含め1年間です。)

 

2.本人への給付

「出産育児一時金とは?」

 健康保険や国民健康保険などの被保険者または被扶養者が出産するとき、42万円が支給されます。
分娩施設に直接支払われ、窓口での負担が軽減されます。

「出産手当金とは?」

 健康保険等(国民健康保険をのぞく)の被保険者が出産したとき、上記1.の産休の間、1日につき標準報酬日額(産休開始時点の月々の保険料の基礎額の30分の1)の3分の2相当額が支給されます(報酬が支払われる場合はこの額を上限に差額が支給されます)。

「育児休業給付金とは?」

 雇用保険の一般被保険者が上記1.の育休を取得した際、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あれば、受給資格の確認を受けられます。
その上で、育休中の1ヶ月ごとに支払われる賃金が休業開始前の1ヶ月あたり賃金の8割未満で、各1ヶ月間に勤務日が10日以下のとき、支給されます。
こちらも一定の場合は1歳6ヶ月まで延長できます。また「パパママ育休プラス制度」を利用すると1歳2ヶ月まで、それぞれ1年間を上限に支給されます。
給付金の額は、休業開始前の賃金のおおよそ50%です。
ただし育休中に賃金が支払われた場合は、給付額と支払われた賃金の合計額が休業開始前の賃金の80%を超えないよう、減額調整されます。

 

3.社会保険料の負担軽減

「産休中の社会保険料免除(26年4月分から)とは?」 NEW!

 産休開始月から終了日の翌日の属する月の前月分まで健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料が本人分、事業所分とも免除されます(今年4月分以降から対象となります)。期間中の届出が必要です。

※①出産前に届出て、出産が予定日と前後したり、予定より早く産休を終えた場合や、②産後に届出て、予定より早く産休を終えた場合は、期間の変更や終了についても届出が必要となります。

「育休中の社会保険料免除とは?」

 育休開始月から終了日の翌日の属する月の前月分まで、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料が本人分、事業所分とも免除されます。期間中の届出が必要です。

4.社会保険料の優遇措置

「休業終了時の社会保険料の改定とは?」  NEW!

 産休後、給与が下がる場合は、復帰後3ヶ月間の平均額をもとに社会保険料が改定されます(今年4月30日以降に産休終了となる方から。届出が必要です)。
育休後も同様に、復帰後3ヶ月間の平均額をもとに改定する制度があります。

「養育期間分の年金額計算の特例とは?」

 子を養育する期間の給与額が養育前より下がると、期間中、年金額の計算のもととなる標準報酬月額が下がり、年金額の低下を招くことになります。特例では、このようなことのないよう、養育前の標準報酬月額であったものとみなして年金額を計算します。
3歳未満の子を養育する被保険者の届出が必要で、届出の前月までの2年間についても遡ってみなし措置が認められます。