ストレスチェック制度の実施について(導入前の準備)
(1)対象となる事業場、実施時期など
昨年平成27年12月以降、常時50人以上の労働者を雇用する事業場では1年以内毎に1回、ストレスチェックの実施が義務付けられました。まだ実施していない事業場については、今年平成28年11月30日までに第1回のストレスチェックを実施する必要があります。
なお「常時50人以上の」労働者にはパートタイマーや派遣社員もカウントされ、労働安全衛生法に定める「衛生管理者」「産業医」の選任義務の基準と同規模となっています。
一方、ストレスチェックの対象となる労働者は「一般健康診断」の受診対象者と同じく、次のどちらの条件も満たす者とされています。
【ストレスチェック制度の対象者 ※①②とも該当する人】
①「期間の定めのない雇用契約による者」または「期間の定めのある雇用契約による者で勤務継続1年以上か、契約更新により1年以上の勤務継続が見込まれる者」
②1週間の所定労働時間数が同じ事業場で同種の業務に従事する通常の従業員の4分の3以上である者
(2)実施前の準備
ストレスチェックの実施にあたっては、まず事前に
①会社としての基本方針を示したうえで、
②担当者等により実施方法などを検討し、
③「衛生委員会」を開いて具体的な実施体制等を決定し、
④決定事項を社内規定とし、従業員に知らせる必要があります。
(3)衛生委員会で話し合う事項
28年4月に公開された厚生労働省の「ストレスチェック制度導入ガイド」では次のように解説しています。
【話し合う必要のあること】
①ストレスチェックを誰に実施させるのか
②ストレスチェックをいつ実施するのか
③どんな質問票を使って実施するのか
④どんな基準でストレスの高い人を選ぶのか
⑤面接指導の申し出は誰にすればいいのか
⑥面接指導はどの医師に依頼してするのか
⑦集団分析はどのような方法で行うのか
⑧ストレスチェックの結果は誰が、どこで保存するのか
(4)ストレスチェック制度の実施体制
実施体制は次の通りとなっています。
このうち、人事部長など人事に直接的な権限を持つ監督的な立場の従業員は、「実施者」「実施事務従事者」の従事する実施の事務に従事することができません。「実施の事務」とは、ストレスチェックの実施に直接従事することと、従業員の健康情報を取り扱う事務を指します。
これはストレスチェック結果が、従業員本人の意に反して人事上の不利益取り扱いに利用されることを防ぐための措置とされています。
「事業者」
・・・ストレスチェック制度の実施責任を担う。方針の決定など
「ストレスチェック制度担当者(衛生管理者など)」
・・・ストレスチェックの実施計画の策定、実施の管理などを担う。
「実施者(産業医など)」
・・・ストレスチェックの実施(企画および結果の評価)
「実施事務従事者(事務職員、産業保健スタッフなど)」
・・・実施者の補助(調査票の回収、データ入力など)
以上のように、ストレスチェック制度では、単にチェックを実施するだけでなく、社内体制を整備し、結果を面接指導や職場環境改善等につなげていくことが求められています。詳細はご相談ください。