支店や支社の労働保険、社会保険、就業規則などの一括について

労働基準法や社会保険関連法令では、支店や支社などは独立した1個の事業場として扱われます。
ただし、一定の条件を満たす場合は本社などで手続き等を一括することができます。
今月号では、支社や支店の就業規則や労働・社会保険について、整理しました。

①労働保険の一括(継続時業)

一般の工場、店舗など、特に事情がない限り継続する事業の労働保険は、支店、支社等、事業場別に成立します。
ただし、事業主が同一で事業の種類が同じ場合など、一定の条件を満たすと、本社などに一括することができます。
一括先の本社等の所在地を管轄する労基署に申請し、労働局長の認可を受ける必要があります。

 

②雇用保険の一括

雇用保険も本来、労働保険同様、事業所別に設置する必要があります。
ただし、人事管理が本社等で管理されている等、一定の条件を満たし、独立した事業所に該当しないと認められる場合、本社等に一括することができます。
各支店、支社の所在地を管轄する公共職業安定所に書面で申請し、非該当の承認を受けます。

 

③社会保険の一括

支店、支社で人事管理(採用、給与計算など)を行っている場合、支店・支社単位で加入する必要があります。
この場合、支店間の異動のたび手続きが生じることになるため、厚生年金保険の加入漏れ等、発生しかねません。
このため、一定の条件を満たす場合、各支店等の社会保険を本社等に一括する「一括適用」の制度が用意されています。
一括先の本社などの所在地を管轄する年金事務所に申請し、一括適用の承認を受ける必要があります。
ただし、本社で一括して人事管理を行なう場合には「本社管理」とし、本社の被保険者として管理することも可能で、こちらのほうが一般的と思われます。

 

④就業規則の一括

就業規則は、常時10名以上を雇用する事業場毎に作成し、各事業場で労働者代表(過半数労働者で組織する労組のあるときはその代表者)の意見書を添えて、所在地を管轄する労基署に届け出る義務があります。支店、支社についても同様です。
ただし、内容が同じ内容であるときなど、一定の条件を満たす場合、届け出についてのみ、本社で一括することができます。

 

⑤36協定の一括

36協定(時間外、休日労働に関する労使協定)は事業場別に締結し、所在地を管轄する労基署に届け出る必要があります。
ただし、就業規則同様、一定の条件を満たす場合は本社で一括して届け出ることができます。

一括の制度は、それぞれ条件が異なります。多店舗展開される場合や異業種や新分野などに進出される場合、手続き等、用意に手間取ることもあるかと思われます。
詳細はお気軽にご相談ください。