第三者による人事労務の調査・審査について

職場での人事労務の法制度の実施状況は、官公庁の調査対象となるほか、地方公共団体等との公契約や、株式上場、雇用関係の助成金の申請等、外部の第三者からチェックされる機会があります。

一言で人事労務の法制度といっても、法律・規則・通達等多岐に渡るうえ、法改正も多く、事業所の制度や規程を適宜変更していくのは大変です。
今回は外部の第三者が人事労務の法制度の実施状況をチェックする際のポイントを簡単にまとめました。

経営者の皆様が自主的にチェックされる場合や、労務管理を整備する際、お役立ていただければ幸いです(調査や審査全般に通じる内容のため、個別のチェックの際には必要とされない資料等も含まれています。ご了承ください)。

【第三者による調査・審査等の手順】
通常、こういった調査や審査の際には、①まず社内規程や法定帳簿等の書類を提出させ、有無や内容を確認したうえで、②実施状況と相違ないか照合し、③結果をチェック(調査や審査等)の目的に反映させます。チェックの対象となる書類のうち、主なものは以下のとおりです。

「就業規則・賃金規程等の社内規程」、労働基準法に定められた各種の「労使協定」、「雇用契約書」、「法定帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)」「労災母権・雇用保険、健康保険・厚生年金保険の事業所控」「年次有給休暇の管理台帳」「定期健康診断の記録」「安全衛生管理体制関連の書類」「組織図」等

【第三者がチェックする主なポイント】
下記のように人事労務の主な法令・制度に沿った着眼点でチェックが行なわれます。

1.就業規則
作成、届出、周知状況と記載内容のチェック

2.労働条件通知書、雇用契約書
記載内容のチェック

3.法定帳簿「賃金台帳」
記載項目、保存状況、賃金の支払状況、賃金計算等の方法等のチェック

4.法定帳簿「労働者名簿」
記載内容、保存状況、雇用状況等のチェックのほか、他の資料との照合等

5.法定帳簿「出勤簿」または勤怠管理の資料
記載内容、保存状況、勤務時間、時間外労働の管理状況等のチェック

6.年次有給休暇の取得状況
付与・消化の管理状況等のチェック

7.変形労働時間制、割増賃金の計算方法
協定または規程の作成・届出・周知状況、割増賃金計算時の分母・分子の算出方法、端数処理等のチェック

8.育児・介護休業、短時間勤務制度
制度・規程・協定等のチェック

9.退職の取扱
退職、解雇、雇い止め等のチェック

10.労働安全衛生法関連のチェック
安全衛生管理体制のチェック、定期健康診断の実施状況、記録の保存状況等のチェック

11.労使協定
代表者の選出方法等のチェック

12.労災・雇用・健保・厚生年金保険
事業所、被保険者等の加入状況、保険料等のチェック

13.男女雇用機会均等法
母性健康管理、性別による差別的措置等のチェック

 

事業の態様は様々です。自主的に上記のポイントに沿って実施状況を確認される際には、事業の円滑な運営の妨げとなることのないよう、実態に即した対応が必要です。詳細はご相談ください。