「休憩時間」の原則と「手待ち時間」等の留意事項

 労働法上、「休憩時間」は従業員が「労働から離れることを保障されている時間」とされています。
 今回は労働法上の休憩時間の原則や、手待ち時間の取扱い等をまとめました。

1.「手待ち時間」と「休憩時間」

 休憩時間とは「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」です。

 実際に作業をしていない時間であっても、いつでも仕事をできるよう待機しているいわゆる「手待ち時間」については、休憩時間にはあたらないとされています。

【行政の解釈】

休憩時間の意味

休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取扱うこと。(昭和22年9月13日発基17号)

2.労基法の「休憩時間の3原則」

 労働基準法では、①会社は労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとしています。

 また②休憩時間は原則として一斉に与えなければならず、③労働者に自由に利用させなければならない、としています。

 この3原則には例外があり、労使協定の締結や特定の業種などの条件が法令で定められています。

3.休憩時間の違反に対するペナルティ

 休憩時間を付与していない場合には、一斉休憩の違反については各労働日毎、その他の違反については各労働日、各労働者毎に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則の対象となります。

 また休憩時間が実際には労働時間であったとされた場合には、時間外賃金の支払い義務が生じることがあります。

4.休憩時間の「電話番」の取扱い

 1.の「【行政の解釈】」のとおり、行政通達は「単に作業に従事しない手待ち時間は休憩時間には含まない」としており、電話番の時間は労働時間とされます。

 休憩時間中に電話番を命じるのであれば、対象となる社員についてはその時間は労働時間としてカウントし、同じ日の内に別に休憩時間をスライドさせる等、対応してください。

 この取扱いは「休憩の一斉付与の原則」の例外対応となりますので、法定の労使協定の締結が必要となります。監督署への届出は不要です。

 ちなみに当番でない休憩中の社員が自発的に電話や訪問客に対応するようなケースについては、休憩時間は待機時間にあたらず、電話応対等の時間も労働時間ではないとした判例があります。(大阪高判平13.6.28 京都銀行事件、東京地裁平10.6.12判決日本貨物鉄道事件、大阪地裁平5.12.24判決高島屋工作所事件)

5.休憩時間のスライドについて

 臨時的でやむを得ない事情により、休憩時間の時間帯に業務を命じる場合には、休憩時間を繰り上げまたは繰り下げ、あるいは分割して付与し、法定の長さの休憩時間を確保する必要があります。

 このとき、終業時刻をその分、切り上げ、労働時間を短縮した場合には労働基準法上の休憩時間を与えたことにはなりません。付与義務に違反することになりますので、留意してください。

6.休憩時間の外出規制について

 休憩時間中の外出を許可制とすることについては、通達は「事業場内において自由に休憩し得る場合には、必ずしも違法にならない」としています。ただし、合理的な理由なく不許可とすることは自由利用の原則に反します。

【行政の解釈】
休憩の自由利用に関する制約
休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害さない限り差支えないこと。(昭和22年9月13日発基17号)

(問)休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせるのは法第34条第3項に違反するか。
(答)事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならない。(昭和23年10月30日基発1575号)

7.休憩中の仮眠・体操

 休憩時間中の仮眠が懲戒解雇事由とされた裁判において、「職場内における自主的秩序のもとに休憩時間中仮眠すること」は「労働者の疲労回復を目的とする休憩時間の自由利用の限界を超えない」とし、懲戒事由にあたらないと判断した例があります(大阪地裁昭31年(ヨ)第274号淀川製鋼所事件)

 休憩時間中の体操についても、同様の判断が想定されます。

 もし、休憩時間中の仮眠や体操が他の社員の休憩や就労の妨げとなったり、企業秩序を乱す恐れがある場合等は、仮眠・体操の場所を指定する等の対応が考えられます。

 

(本稿は、『企業実務2019年9月号〔日本実業出版社刊〕』掲載の塩澤寄稿記事を再構成しました。)