9月に発覚した年金の支給漏れ 振替加算の制度と今後の対応

9月13日、厚生労働省は、「振替加算」の支給状況について総点検を行った結果、約10万6千人強の受給者に対し、合計約600億円の未払いが生じていたことが判明した旨を発表しました。

 

(1)「振替加算」とは?

 「振替加算」とは、配偶者の老齢厚生年金または障害厚生年金に「加給年金」が加算されている場合、本人が65歳に達したときに、配偶者への「加給年金」の加算を停止し、同時に本人の老齢基礎年金に振り替えて加算する制度です。
現在は年齢に応じて月6千円~1万9千円程度です。

 ちなみに「加給年金」は、配偶者が「厚生年金保険または共済組合の加入期間が20年以上」などの条件を満たす場合で、本人が配偶者に生計を維持されているときに支給されます。

 

(2)今回の支給漏れの詳細と今後

 年金の一元化にともない、年金機構が「配偶者の加給年金が終了している一方で振替加算が開始されていない夫婦の事例」を総点検した結果、判明しました。
支給漏れの判明した10万6千人弱の内訳は、夫婦の一方が共済組合に加入していたケースが96%を占めていました。
また支給漏れの原因は多くが「年金機構と共済組合の情報連携不足」「システム処理」「年金機構の事務処理ミス」によるもので、「本人からの届け出漏れ」によるケースは1万2千人強にとどまりました。

 年金機構は、支給漏れのあった人には、通知の上、おおむね11月をめどに支払を終了するとのことです。
また、振替加算専用ダイヤルまたはフリーダイヤルによる電話相談の体制を拡充するとのことです。