労働保険の年度更新と関連するトピックス
(1)労働保険の年度更新とは?
毎年5月末頃、事業所宛に、労働局から労働保険年度更新の申告用紙が送付されます。
労働保険とは労災保険と雇用保険のことをいいます。
年度更新とは、毎年、当年度分の労働保険料(労災保険料、雇用保険料)を概算して申告・納付し、同時に前年度分の確定額との過不足を精算する手続きです。
(2)手続きの時期とペナルティは?
年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日(平成28年度は11日)までの間に行う必要があります。
年度更新の手続きを怠り、政府が保険料等を決定した場合は追徴金が、保険料を滞納した場合には延滞金が課せられることがあります。ご注意ください。
(3)手続きの窓口は?
労働保険料の申告・納付先は、黒色と赤色で印刷してあるときは「所轄の労働基準監督署または労働局、日本銀行の本店、支店、代理店、歳入代理店(全国の銀行・信金の本店または支店、郵便局)」のいずれかで申告・納付します。
藤色と赤色で印刷してある申告書のときは「所轄の労働局、日本銀行の本店、支店、代理店、歳入代理店(全国の銀行・信金の本店または支店、郵便局)」のいずれかで申告・納付します。
労働保険事務組合に委託する場合は、事務組合が窓口となります。
※ 年度更新は、インターネットによる電子申請を利用できます。電子申請の際は、申告用紙に印字されたアクセスコードが必要です。詳しい内容はご相談ください。
(4)保険料は分割できる?
当年度の保険料の概算額(概算労働保険料)の額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方のみのときは20万円)以上の場合か、労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合、概算保険料を3期に分割して納付することができます。
※ 労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて労働保険の事務を行うことについて厚生労働大臣の認可を受けた中小企業事業主等の団体です。中小企業の事業主等の労災特別加入の他、運輸業・建設業一人親方の労災特別加入などに対応します。詳細はご相談ください。
(5)高年齢の被保険者の保険料免除はいつまで?
4月1日時点で64歳の雇用保険被保険者(高年齢被保険者)については、雇用保険料が免除されます。
また65歳に達した日以降に雇用された人は雇用保険の適用外でしたが、今年の法改正により、来年平成29年から、雇用保険被保険者となります。
なお高年齢被保険者の保険料免除措置は、平成32年度から廃止されます。
(6)一般拠出金とは?
石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てるため、平成19年度から事業主が負担しています。
一般拠出金の額は、賃金総額に一般拠出金率0.02/1000を乗じた額となります。
(7)労災保険料が増減するメリット制とは?
メリット制とは、事業場の労働災害の多寡に応じて、一定の範囲内で労災保険料率または労災保険料を増減するしくみです。
増減の範囲は、基本プラスマイナス40%(例外あり)となっています。
適用の対象となるのは、保険関係成立後3年以上経過している事業で、連続する3年度中の各年度につぎのいずれかに該当する場合です。
イ.常時使用労働者数が100人以上
ロ.常時使用労働者数が20人以上100人未満で災害度係数【労働者数×(労災保険率-非業務災害率)】が0.4以上であること
ハ.一括有期事業(建設の事業など)では確定保険料額が一定額(40万円または100万円)以上であること
メリット制の適用時期は、連続する3年度の最後の年度の翌々年度となっています。
メリット制の適用を受けるための手続きは不要で、適用年度には適用後の労災保険料率が印字された申告書が配布されます。
※ 単独有期事業については、事業終了後、いったん確定精算した労災保険料の額をメリット制により増減します。条件など詳細はご相談ください。