労働条件の明示が今年4月からFAX・メール・SNSでも可能に
労働条件の明示方法は、これまで書面の交付に限られていましたが、労働基準法施行規則の改正により、今年4月からは、労働者が希望した場合には、FAX、メール、SNSなどでも可能となりました。
厚生労働省パンフレットの内容をまとめました。
1.労働者に明示しなければならない事項は変わりありません。
次のとおりです。
a 労働契約の期間
b 有期労働契約の更新の基準
c 就業場所・従事すべき業務
d 始業・終業時刻、所定労働時間超えの労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交替制等に関する事項
e 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切・支払時期、昇給に関する事項
f 退職(解雇を含む)に関する事項
G その他
・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払方法、退職手当の支払時期
・臨時に支払われる賃金(退職手当除く)、賞与、精勤手当、勤続手当、奨励加給、能率手当、最低賃金額
・労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
・安全衛生、職業訓練、災害補償、業務外の疾病扶助、表彰、制裁、休職の関する事項
2.明示する方法(FAX、メール、SNSも)
1.のa~fについては、これまで書面交付義務がありました。
今年4月からも、原則として書面の交付が必要ですが、労働者が希望した場合は、以下の方法で明示することができます。
ただし、出力して書面を作成できる方法に限られます。(個人的な事情によるのでなく、一般的に出力可能な状態であれば、出力して書面を作成できる状態と認められます。)
① FAX
② Eメールのほか、Yahoo!メールやGmailなどのウェブメールサービス
③ LINEやメッセンジャーなどのSNSメッセージ機能等
※第三者に閲覧させることを目的としている労働者のブログや個人のホームページへの書き込みによる明示は認められません。
3.留意すべき事項
メール・SNSで明示する場合は、印刷・保存しやすいよう、添付ファイルで送るようにとのことです。SNS本文で細切れに表示すると、印刷時に途切れるため、望ましくない、とのことです。
またトラブル回避のため、明示した日付、送信した担当者氏名、事業場や法人名、使用者の氏名等を記入するよう要請しています。その他、留意すべき事項として次が挙げられています。
・明示する内容は事実に即したものであること。
・紛争予防のため、労働者本人が希望した旨を個別かつ明示的に確認すること。
・本当に到達したか本人に確認すること。
・なるべく出力して保存するように本人に伝えること。
・SMS等による明示はファイルを添付できず、文字数制限があるため望ましくないこと。
・労働契約時締結時に明示を怠ったり、労働者が希望していないにもかかわらず電子メール等のみで明示したりすることは労働基準関係法令の違反となり、最高で30万円以下の罰金となることがあります。